肥前の古窯:肥前陶磁器の故郷を訪ねて
川口誠二 著(出版社・長崎文献社)
長崎市内で古美術店を営む、この本の著者 川口誠ニさんをお尋ねして、肥前の古窯のお話をお聞きしました。
(以下は、川口さん談)
窯跡の上には必ずお墓や石碑、神社や祠があります。
お供え物として、陶石や磁石で作った石だんごがあって、それは丸いから窯跡の下や低い土地に転がってます。
釉薬をかけたものもあれば、そのまま焼いたものもあり、窯によって丸いのもあれば、だんごみたいに楕円のものもあるから撮影してください。
ふつうの皿や茶碗など陶片はつまらないです。それより二つの器がくっついているものは、それらが同時代に同じ窯で焼かれたという決定的証拠だから記録に残すべきです。
窯跡の周辺の環境が、東西南北どちらに向かって作られている窯なのか、冬はどちらから陽射しがありどちらから風が吹くのか、傾斜の勾配を計ったり、記録してください。
石碑はふつうに撮影しても文字が判明しないから、なんらかの工夫をして記録に残して欲しい。
窯跡に残された石碑の研究をもっとしていきたい。
川口さんは子供を連れて窯跡を巡った、子供は藪の中を潜って陶片などを発見してくれた。
窯跡で食べるおにぎりは美味かったです。窯跡は山奥が多く当時はコンビニも無かったので苦労しました。
古唐津をカードで迅速鑑定 長崎の川口さんが特許取得 半世紀かけ集めたデータを活用
長崎新聞 2023/06/15 [12:10] 公開 から転載
長崎県長崎市曙町で古美術店を営む川口誠二さん(76)が、16~17世紀の肥前地方の陶器「古唐津」について、窯元や年代をカード形式の資料ですぐに特定できる仕組みを確立し、特許を取得した。約半世紀かけて集めたデータを基にしている。
25歳の時、近所の古窯跡に落ちていた窯道具を見つけたのがきっかけで、焼き物や古窯に興味を持ち始めた。その中でも、他の地方の焼き物に比べて技法が多い古唐津に心を引かれた。「肥前地方の焼き物の原点。知れば知るほど魅力を感じた」と話す。
もともとは電器店を経営し、焼き物好きが高じて店内に古美術コーナーを設けた。20年ほど前、電器店を畳み、趣味が本業に。仕事の傍ら、約50年かけて長崎と佐賀の約360カ所の古窯跡を巡り、それぞれの特徴などを記録した。そのうち県教委や骨董(こっとう)収集家から鑑定を依頼されるようになったが、膨大な資料をめくり特定するまでに2~3日かかっていた。鑑定に必要な資料は「全てそろっている」と自負する一方、もっと迅速に作業を進めたいと考えた。
そこで、古唐津が作られた137カ所別に、それぞれの特徴が分かるカードを作成した。表面のふちには「皿」「壺」「砂目」「灰釉(暗緑色)」といった用途や装飾などで分類した共通項目を記載。全ての項目に丸いパンチ穴が添えてあり、該当する項目だけ半円形の切欠きにしている。裏面に詳細を記した。
実物を見ながら調べる際には137枚を重ね、該当する項目のパンチ穴に選別棒を1本通す。切欠きで棒から複数枚のカードが外れ、これを4回繰り返すと、1枚~数枚に絞られる。残ったカードで生産地や年代を特定する。鑑定を数分程度に短縮できるようになった。
この137枚は川口さんが約50年かけて地道に調べてきた情報の集大成。制作に2年を費やし、3月末に特許として認められた。「凝り性。やり始めたら、とことん、やり続ける」。周囲から「変わり者」と言われながらも手作りにこだわった。「これからは鑑定したその場で依頼人の笑顔を直接見られるのが楽しみ」と顔をほころばせた。






